【第9回目その3】【重要】表現と表出の違い
表現と表出の違い

この記事は2020年4月10日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

INDEX
  1. ▼空気とは、表出するもの
  2. ▼表現と表出の違い
    1. 漫才師は表出がいらない?

▼空気とは、表出するもの

前回の続きです

これまでにお話した「空気を作ること」は、表現ではなく表出の領域です。

表現と表出の違いは次のとおりです。よーく覚えておきましょう!

  • 表現・・・「この役は、こういう演技をしよう」とあえて出すもの
  • 表出・・・「この役は、こういう人物だよね」と表現をしなくとも勝手に滲み出るもの

極端な例を言うと、「お相撲さんって、基本優しそう」というイメージも、そのキャラクターが優しそうな演技をあえて表現しているのでなく、もともと表出しているものです。

ただし、「デブ=優しそう」というイメージは、表出というよりレッテル(思い込み)に近いです。

表出というのは、「たとえ細身の人がお相撲さんの役をしていても、お相撲さんの雰囲気・空気さえ持っていれば、優しそうに思われる」ということです。

  • 当たりが柔和なかんじ
  • 動作がゆったりしている

など

難しいことですがこれは「優しそうな表現をしているんだよ」ではなく、「その人物(役)にとって当たり前」でしかありません。役者が「こう演技しなきゃ!」と意識してしまうようでは、まだ表出には至っていないということです。

乱暴な言い方をすれば「その役になりきっていれば、表出はできているはず」なのです。

「その役なら考えずとも、こういうことするよね?こういう動きをするよね?」が表出です。「こういうことをしよう」と意図を持って演じるのが表現です。

表出がなかなか出てこない場合は、「自分の世界だけでお芝居が完結している」可能性があります。自分の役は周りからどう見られているのか、作品全体の中で自分という役はどういうポジションを求められているのかを観察する必要があります。

▼表現と表出の違い

例えば、とつぜん相手からピンポン玉を投げつけられたとします。

あなたは「えっ!」と反応したり、手で防ごうとしてしまうはずです。このくらい当たり前に出る行動が表出です。

この時わざわざ「こうしよう」「表現しよう」とは考えていませんよね。

もうひとつ例を挙げます。

「紙飛行機を作ってください」と言われたとき、いろんな紙飛行機が作れると思います。

  • シンプルなもの
  • 先が折れているもの
  • 翼が上を向いているもの など

この紙飛行機という完成物が「表現」と言えます。

いっぽう紙飛行機を作る際に、

  • 折り方が早いか、遅いか
  • 折り方が丁寧か、雑か
  • 折る順序はどうか

こういった意識せずに出ている部分が「表出」と言えます。

この違い、分かるでしょうか?

漫才師は表出がいらない?

漫才師は、じつは表現だけすれば大丈夫です。なぜなら、表出している部分は漫才師そのものだからです。

しかし役者は「役の雰囲気」が表出していなければなりません。さもないと、何を演じても「役には見えない。あなた自身が演じているだけだね」と言われてしまいます。

演技とは、自分以外のものになることだからです。

コラム:ものまね芸人は表現?表出?

ものまね芸人は、他人の特徴をうまく捉えて笑いに変えています。これは表現しているのでしょうか?それとも表出しているのでしょうか?実はものまね芸人は表現しかしていません。なぜなら、観客に分かりやすい形で特徴をデフォルメし「はっきりと見せているから」です。細部の動きまでものまねが上手かったとしても、細部を表現しているに過ぎず、表出とは異なります。
デフォルメについては次で解説します

がんばりましょう!