【第5回その1】役は、未来を知らない
未来は分からない

この記事は2020年2月12日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

Q.勉強のために劇場へ通ったほうがいいのでしょうか?

中劇場以上ならいいですが、小劇場は観に行かなくていいです。身内でやっているような小さな劇団の公演は観に行く必要はありません。かえって害になる場合すらあります。
これまでお伝えしている目的(メソッド)などがハッキリしないまま劇をやっている場合があって、何より面白くないです。※これはいち意見です

▼台本の先読みはNG

台本:星に願いをの「あ、流れ星!」と言ったとき、役3の目的はなんだと思いますか?

台本:星に願いを

役3:あ、流れ星!

ここで「役1,2に願いごとをさせたい」と設定するのは悪い例です。

約3の目的:役1,2に願いごとをさせたい

役3:あ、流れ星!と言った

これは、台本の先を知っている「神の視点」で台本を見てしまっています。

仮に「あ、流れ星!」で台本が終わっていたとしたら、どうなるでしょうか?

この場合の目的は「流れ星を見させたい」になりそうじゃありませんか?

現在は、過去からしかできません。そして未来は現時点では決まっていません。

先を知っている神の視点で目的を作ってしまうと、目的の条件である「失敗する可能性があること」が成立しなくなります。

(おさらい:目的とは相手に具体的な何かさせるために、簡単で、失敗する可能性があること→【第3回その2】【最重要】目的(メソッド)って何?

「失敗する可能性がない」ということは先が読める展開ということです。つまり「小劇場にありがちな、予定調和的でつまらないお芝居」に陥る危険があります。

役者としては先を知らないと演じられませんが、役としては先を知っててはいけないんです。

台本の先読みをせずに目的を設定するコツ

目的を作る際は、台本の現在よりも先を、手や定規で隠しながら読み進めるのがいい方法です。

ただ、矛盾するようですが、目的の設定に詰まるようなら「台本の数行先」くらいは盗み見するのも有効です。詳しくはまたの機会にお話します。

がんばりましょう!

【第5回その2】【重要】リアルとリアリティの違い