【第3回その2】【最重要】目的(メソッド)って何?
目的(メソッド)
INDEX
  1. ▼がんばって「目的(メソッド)」を書き出そう
  2. 目的(メソッド)とは何か
  3. ▼目的(メソッド)の4条件
    1. 1.簡潔(シンプル)
    2. 2.他人を使役する
    3. 3.失敗する可能性がある
    4. 4.具体的である

▼がんばって「目的(メソッド)」を書き出そう

今回は、メソッド演技法の入門です。

面倒だけど、台本ごとに書き出して、そして継続してほしいものがあります。

それが目的です。メソッドとも呼ばれます。

メソッドとは、ロシアのスタニスラフスキーが考案したメソッド演技理論です。

Wikipedia:メソッド演技法

目的(メソッド)は、少なくとも3年〜5年間は紙に書き出してほしいものです。書き出しているうちに、だんだんと頭の中だけでメソッドを組めるようになってきます。ただし、3年で書き出さずに済むレベルになれば、才能があると言っていいくらい道のりは長いと思っておいてください。

まずはできることから始めましょう!

目的(メソッド)とは何か

目的とは、「相手に具体的な何かをさせるために、簡単で、失敗する可能性があること」です。これを頭のなかで100回唱えて覚えてほしいです

どういうことかまったく分からないと思いますので、順を追って説明します。

まず、台本には必ず役のセリフが書いてあります。なぜセリフが書いてあるのでしょうか?

セリフが無いと物語が成立しないから?なるほどそれもひとつの考え方です。

数ある中のひとつの答えとしては、「相手に何かを働きかけることが、物語だから」です。

逆を言うと「相手に何かを働きかけないと、物語は生まれない」ということです。

例えば、役Aと役Bが舞台に立っていたとして、この2人がお互いにまったく干渉し合わないとしたら、どうなるでしょうか?物語は進むでしょうか?

セリフ例

役A:お腹すいたなぁ
役B:スマホの電池切れそ〜

役Aが「お腹すいたなぁ」と言っているのに、役Bが「スマホの電池切れそ〜」と呟いているだけの劇に、物語性はあるでしょうか。

たぶん無いです。わたしなら「物語とは別の、なにか特殊な表現にチャレンジしているのかな?」とか思ってしまいます。

いっぽう、役Aが「お腹すいたなぁ」と言って、役Bが「どこか食べに行く?」と言うのは物語が生まれているのが分かるでしょうか。

セリフ例

役A:お腹すいたなぁ
役B:どこか食べに行く?

もうひとつ例を挙げます。

役Aが「お腹すいたなぁ」と言い、役Bが「スマホの電池切れそう」と言ったところ、ふたたび役Aが「ちょっと、俺の話聞いてる?」と言うのもまた物語が生まれていますよね。

セリフ例

役A:お腹すいたなぁ
役B:スマホの電池切れそ〜
役A:ちょっと、俺の話聞いてる?

このように、セリフとは「相手に何かを働きかけるもの」なんです。

「役がなぜ、そのセリフを言うに至ったか?」の答えは、「その役に、達成したい目的があるから」です。「相手に何かを働きかけたいから」です。「相手に何かをさせたいから」です。これが目的(メソッド)に基づいた考え方です。

鬼ごっこが一人ではできないのと同じです。

この考え方が、基本にして最重要です。今後も何度もお伝えします。

▼目的(メソッド)の4条件

目的とは、具体的に次の4つを満たすものです。4つを満たさないものは目的とは言いません。

1.簡潔(シンプル)

目的は、かんたんに言い表せるものでなくてはいけません。

「実は役Aは役Bに謝りたいことがあって、でもそれを言い出せないから〜〜〜」など、複雑な理由付けをするのは不適切です。

○○させるため(に、このセリフを言うに至った)」と一言で言えることが望ましいです。

例:役Bに「どこか食べに行く?」と言わせるために(このセリフを言うに至った)

目的設定の例

役Aの目的:役Bに「ご飯行くかい?」と言わせるために、

役Aのとった行動:「お腹すいたなぁ」と発言した

2.他人を使役する

目的は、他人を動かすためのものでなくてはいけません。

難しく言うと「他人を使役するものであること」です。

これも言い換えると「○○させるため(に、このセリフを言うに至った)」です。

くりかえし言うと、目的とは「自分が、相手に、何かをさせるもの」です。そうでなきゃ、物語が進行しないからです。

「お腹すいたなぁ。ご飯食べに行こうっと」などという自己完結は、お芝居には原則として存在しないものと思ってください。

「お腹すいたなぁ。ご飯食べに行かない?」や「お腹すいたなぁ。ご飯食べに行こ〜〜っと(ほら役B…!私も行きたいって言えよ…!)」という狙いがあるなら、他者との関わりがあるのでドラマが生まれる余地があります。でも自己完結はドラマが生まれる余地がありません。

この違いを、よ〜〜〜く覚えておいて下さい!

もちろん相手役も、他人に何かをさせなければいけません。目的は相互に作用しあうものです。

※実は「自分で自分を使役すること(自己使役)」もありますが、自己使役は例外です。今度くわしく説明します(→【第6回その1】目的(メソッド)の「例外」

3.失敗する可能性がある

目的は、失敗する可能性があるものでなくてはいけません。

例えば、「友達に、”ずっと好きでした”と伝える」ことを想像してみてください。

ここでの目的を「相手に私の思いを伝えたい」と設定したとしましょう。

愛の告白をする目的の例1

私の目的:相手に私の思いを伝えたい

私がとった行動:「ずっと好きでした」と発言した

さて、この目的は失敗する可能性があるでしょうか?

いいえ、「失敗する可能性がない」と言っていいですね。だって話だけならまず間違いなく聞いてくれるからです。つまりこれは目的としてNGです。成立しません。

では、目的を変えます。「相手にOKと言わせたい」という目的ならどうでしょう?失敗する可能性があるでしょうか?

愛の告白をする目的の例2

私の目的:相手にOKと言わせるために、

私がとった行動:「ずっと好きでした」と発言した

これは「失敗する可能性がある」と言っていいでしょう!

だって、OKの返事を貰えるとは限りませんよね。つまり的として成立します。

なぜこんな面倒な考え方をする必要があると思いますか?

これも、失敗する可能性が無いと、物語としての面白みが無くなるからです。

極端な話ですが、「ずっと好きでした!(伝えたからもういいや)」と「ずっと好きでした!(いい返事を下さい!)」では、演じ方が変わるのが、なんとなく想像できませんか?

もっと言うと、「OKが欲しかったのに、”ごめんなさい付き合えません”と言われたときのショック」も、物語としてとても面白い予感がします。

例えば、下手な映画を見てると、「どうせこのあと、この人が死ぬんでしょ?」となんだかオチが想像できてきて、実際そのとおりになったりと退屈になったことはありませんか?まさにそれは「先が読める展開」だからです。

物語とは、失敗するか成功するかフタを開けて見るまでわからないから、ドキドキハラハラするんです。

4.具体的である

目的は、具体的な内容でなくてはいけません。

先ほど「愛の告白をする」という例を出しました。

もしも「相手に、OKと言わせたい」という目的を「相手に返事を貰いたい」という目的に言い換えると、どうなるでしょうか?

私の目的:相手から返事を貰うために、

私がとった行動:「ずっと好きでした」と発言した

実はこれも目的としては不適切なんです。なぜなら、「返事」だけでは具体性に欠けるからです。

「付き合っていいよ」という返事が良いのか?「ちょっと考えさせて」という返事でも許容範囲なのか?目的が曖昧なんです。

他にも例えば、「こんばんは」という挨拶を投げかけた人は「おはよう」という返事を期待しているでしょうか?「こんばんは」と返ってくることを期待しているはずです。これも目的をブレさせないための大事な条件です。

挨拶の目的例

私の目的:相手に「こんばんは」と言わせるために、

私がとった行動:「こんばんは」と発言した


以上の4条件をまとめると、目的とは「相手に具体的な何かをさせるために、簡単で、失敗する可能性があること」になるんですね。

いかがでしょうか、最重要と言っても過言ではない「目的」ですが、付いてこられているでしょうか?

目的に「たった1つの正解」なんてないし、正解か不正解かなんてやってみないとわかりません。演じる人の数だけ正解があります。何よりもまずは目的を「こうかな?」と仮でもいいので設定することです!その上で演じてみて、目的の修正をしていけばいいのです。

がんばりましょう!

次回も重要です・・・!

【第3回その3】【最重要】目的(メソッド)を設定するメリット