【第6回その5】[きっかけ→目的→言動]の順番に影響が出る!
きっかけ目的言動

この記事は2020年3月2日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

INDEX
  1. ▼目的が変わらない限り、言動は変わらない
  2. ▼目的は極限まで分かりやすく!
  3. ▼言動で相手を使役(コントロール)するとはどういうことか

▼目的が変わらない限り、言動は変わらない

おさらいも兼ねつつ、次へ進みましょう。

目的が変わらない限り、言動は変わりません。

挨拶ひとつを例に取っても、「おはようと言わせたい」という目的を達成するために「おはよう」「おはよー!」「おはようってば」などと話しかけるのです。

挨拶の例

目的:相手におはようと言わせたい

言動:おはよう、おはよー!、おはようってば など

しかし、台本:ゴローで克也と亘理が、永遠にボケとツッコミを繰り返していたらそれはただのコントになってしまいますよね。

ボケとツッコミのシーン

亘理  表彰式?・・・あぁ、あれでしょ、あの、校長のヅラが・・・
克也  いや、その時じゃない
亘理  え?じゃぁ・・・
克也  あれだよ、あの、ケンジが・・・
亘理  あ!あの、ケンジが、勢い余って校長のヅラを・・・
克也  だから違うって
亘理  あ、あれか!理科室の人体模型に校長のヅラが・・・
克也  何の話だよそれ!
亘理  ヅラがついにひとりでに・・・
克也  ヅラから離れろ!

物語を進行させるためにも、どこかに必ず目的変更があるはずです。

そしてさらに覚えているでしょうか?目的変更は「きっかけ」で発生します。

関連記事:【第5回その5】【重要】きっかけとは何か

台本:ゴローのどこにきっかけがあるでしょうか?

ボケとツッコミのシーン

亘理  あ、あれか!理科室の人体模型に校長のヅラが・・・
克也  何の話だよそれ!
亘理  ヅラがついにひとりでに・・・
克也  ヅラから離れろ!
亘理  えー?それじゃないの?
克也  ちげーよ、一年の時だよ
亘理  一年?

変更のきっかけは「克也:ちげーよ。一年の時だよ」かもしれませんね。

お芝居で正解は1つではありません。無数にあるので、「ここがきっかけだろうな」と思った部分で仮決めしてOKです。

続いて、「一年の時だよ」に対して亘理は「一年?」と疑問を投げかけています。

▼目的は極限まで分かりやすく!

亘理が「一年?」と聞いた目的は何でしょうか。

例えば「克也に話をさせたい」ではどうでしょう?

亘理の目的

目的:克也に話をさせるため

言動:「一年?」と質問した

確かにこれは正しいと思います。

ですが、これだけでは目的が不足しています。ちょっと具体性に欠けるんです。

「話をさせたい」を、極限まで分かりやすく目的を書き出してあげると、どうなるでしょうか。

例えば、「克也に、自分にも理解できる内容で説明させたい」と書きます。ここまで具体的にしてあげることが肝心です。

亘理の目的(くわしく)

目的:克也に、自分にも理解できる内容で説明させるため

言動:「一年?」と質問した

なぜここまで具体的にしてあげる必要があるのでしょうか。

やはり第一は、演技がやりやすくなるからです。

また、いまはまだ平気でも、後々台本の難易度が上がったときに、ものすごく活きてきます。

▼言動で相手を使役(コントロール)するとはどういうことか

目的は、相手に「〜させたい」と書くことができるんでしたね。

(おさらい:目的とは相手に具体的な何かさせるために、簡単で、失敗する可能性があること)

目的は、「相手の行動を使役できる」んです。

※目的が「失敗or邪魔された」場合は使役できません。目的を無視されます。

使役とはどういうことか、いまいちピンと来ませんよね。

「相手の行動を使役する」ひとつの例が次のとおりです。

台本:ゴローで亘理は、これまでテンポの速かったコントと打って変わって「一年?(どういうこと?)」と切り出します。

亘理の目的(くわしく)

目的:克也に、自分にも理解できる内容で説明させるため

言動:「一年?」と質問した

ここでは、これまでのテンポの早い早口ではなく、ゆっくりと質問している情景が想像できるでしょうか?

なぜこれまで早かったテンポを落として、ゆっくりと質問する必要があるのでしょうか。それは仮に亘理が、これまでしていたボケツッコミと同じノリでテンポ早く言ってしまうと、亘理目的(克也に詳しく説明させたい)を無視される可能性があるからです。

「いちねん〜?(私にも分かるように詳しく説明して??)」と急激にテンポを落とすことで、克也は「ケンジとか・・・クミコとか・・・(お、おう詳しく説明してやるよ)」としっかり説明を始めます。

いかがでしょう。亘理の言動ひとつで、克也の言動を使役(コントロール)することができましたね。

本当に面白いお芝居というのは「ある役が行った言動で、ほかの役が影響を受けること」にあります。「シテとアド」の関係と同じです。

シテとアドとは

時代劇などである、刀で斬るほうがシテ、斬られるほうがアドです。斬られる役者がすばらしいリアクションをすることで、斬るほうも活きますよね。

がんばりましょう!

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