▼アクションとリアクション
お芝居では、セリフや言動を発すると、相手からかならず何かが返ってきます。これをアクションとリアクションと言います。
例えば、殴りかかる(アクション)と、相手から何が返ってくるでしょうか?(リアクション)。
- すかさず殴り返される
- 抱きしめられる
- 逃げられる
- 通報される
- 泣き出す
など
アクション:殴る
リアクション:逃げられる
同じく台本:星に願いをで役3が「あ、流れ星!」と言葉を発すると、かならず何かが返ってきます。何が返ってくるでしょうか?
- 役1が「え?」と振り返る
- 役2が「え?」と振り返る
など
アクション:あっ、流れ星!!
リアクション:他の役が振り返る
このように、セリフとセリフはかならず「アクション」と「リアクション」の連続です。
レスポンス
この話には続きがあります。
多くの役者が見落としがちなことなのですが、アクションとリアクションの間には重要な動作が挟まっています。
それがレスポンス(=反応)です。
例えば、あなたの後ろで突然爆発音が聞こえたとしましょう。
振り返って「爆発だ!」と言いますか?
違うはずです。「爆発だ!」という発言は、すでにリアクションです。
レスポンスは、その前段階です。かならず身体の反応として「うわっ!」とびっくりするとか、身体をかがめるとか、当然の反応が挟まるはずです。このように、役として人間として当然行うであろう反応がレスポンスです。
「レスポンス中は目的変更できない」ルール
ここで覚えておきたい、重要なことがあります。
「レスポンス中は目的変更ができない」ということです。
例を出します。
突然、あなたにライトが当たりました。
きっとあなたは「まぶしっ!」と目をつむりますね。これがレスポンスです。
レスポンス中は目的変更ができません。
だからレスポンス(反応)を終えた次に、「まぶしくて相手が見えない。だからライトを当てるのをやめさせたい」という目的の変更が来ます。
この順序を間違えてはいけないんです。
もしもレスポンス中に目的変更ができてしまったら、「まぶしっ」と思いながらもライトを消そうと相手に向かってくるおかしなキャラになるのが分かるでしょうか。これでは人間離れしたような違和感があります。
この区別を理解していないと、目的の変更に迷いが生じます。
そして、すべての台本は、
アクション
↓
レスポンス
↓
リアクション
という、永遠にこれの繰り返しです。
稽古中や本番中に、ふっとセリフが飛んでこのサイクルが途切れてしまうと、俗に言う「あ、切れたね」と言われる状態になります。
「アクションとリアクションの間にはレスポンスがある」
今日はこれを覚えましょう!
レスポンスには重要な役目がもう一つあります。それは「役の持つテンポが変わる」ということです。
例えば「あ、流れ星!」というセリフを聞いた役は、流れ星を見ようと思い振り返ります。このとき「えッ!?」と一瞬で振り向くのか、それとも「へっ…?」とおっとり振り向くのかによって、役の持つテンポが全く違いますよね。おっとりキャラにしたいのか、シャキシャキしたキャラにしたいのかは、ここでもコントロールができます。
活用してみてください!
がんばりましょう