【第8回目その3】台本の行間を読み解こう
台本を解凍しよう

この記事は2020年3月11日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

INDEX
  1. ▼作り手が補完する情報とは
  2. ▼そもそも演じるとは何か
  3. ▼台本は芝居をフリーズドライしたもの

▼作り手が補完する情報とは

作り手として補完してあげる内容は「台本の行間」です。

台本は、文字で書かれています。

  • 役が今いるそこは、どんな場所?
  • どんな情景?

など、台本に書いてある文字だけではわからないことがたくさん出てきます。

この台本の行間を読まずにお芝居をすると、極端な話、公演をする意味がないとすら言えます。

観客が「台本でいいじゃん」となります。チケット代を払ってお芝居を見に来る意味がなくなります。だって台本を読めばストーリーが載っているのですから。

▼そもそも演じるとは何か

「台本を演じる」とは具体的にどういうことでしょうか?

あえて言うと、「情報を、二次元から三次元にアップデートして再現すること」です。

台本は文字データしか持っていません。この文字データを、役と作り手の両面の力を使って、仮想現実を作り出すんです。

例えるなら台本というレシピを元に、役と作り手が「実際の料理」にするんです。

なぜ、台本に画像が無いの?

ここまで聞いたとき私は「台本に画像を載せたら便利なのに。役同士で共通の認識も持てるし、いいじゃないか」と思いました。

実は、台本に画像などを添付してイメージを確定させた書類は存在します。台本の次の段階である、制作過程で作られるものです。

しかし、「台本段階」では画像が挿入されない、明確な理由があります。

写真を入れてしまうと、あらゆる「表現の可能性」を排除して、イメージが固定されてしまうからです。

台本という大本のレシピには、多数の可能性が眠っています。

それこそ、役の数だけ、作り手の数だけ「表現手法」があります。それが劇団ごとに物語のカラーや、面白みが異なる要因になります。

▼台本は芝居をフリーズドライしたもの

例えば台本:ゴローの掛け合い劇も、「その世界」をフリーズドライしたものと考えてみてください。

お湯をかけると、役同士が掛け合っている最中のその場の空気や、楽しさ、ケタケタと笑っている部分まで蘇るんです。この世界にただよう空気感などまで再現してあげることが役者の務めです。

がんばりましょう!