それで大丈夫です。ひたすら悩んで、ひたすら迷ってください。
目的(メソッド)には正解はなく、物語として成立さえしていればOKです。やっていくうちにどんどん良いものが出来てきます。次第に「共通するところ」と「味付けを変えるところ」なども分かってくるようになると思います。
▼目的の特殊なケース
今回は、目的をさらに深堀りします。
目的には、実は3種類あります。
1.人対人
2.人対物
3.人対無(自己完結)
1.人対人
目的は、人対人が大原則です。
つまり、人から人に働きかけるものが「目的」です。
例えば、「目的:相手にOKと言わせたい」も「目的:相手を笑わせたい」も、すべて人対人です。
続いては2と3の、「目的の特殊なケース」をご紹介します。「目的の例外」と言ってもいいです。
2.人対物
「人対物」は、目的の例外です。
人対人のような、「物に対して目的を持つ」ということはありません。
目的そのものではなく、「目的の変更を受けるきっかけとなりやすい」ものです。
例えば、隣町の家族へ会いにいくために道路を走っているときに、落石があったとします。
このとき「家族に顔を見せたい」という目的は物によって邪魔されます。あるいは落石に他人が巻き込まれたなら、「他人を生き延びさせたい」に目的が変更されますよね。
「物そのものが目的になることはない」ということを覚えておきましょう!
3.人対無
「人対無」も同じく例外の目的です。「自己完結」や「人対観客」といったケースも含まれます。
自己完結、というのは例えば女子高生がパンをくわえて「遅刻遅刻〜!」と言って家を出るシーンです。このシーンは目的が自己完結しています(傍白とか、自己を使役しているとも言います)。
もしくは、世にも奇妙な物語のタモリというストーリーテラーも「自己完結」です。
- 登場人物が誰もいない状況で独り言を言っている
- 登場人物が観客に向かって話しかけている
もうひとつ例を挙げましょう。
目の前の机に、他人の財布が置いてあります。
役であるあなたは、財布をじーっと見ています。
役は目的に従って動いているのでしたね。
「財布を盗みたい」という目的を持っていない状態で、「よし…やっぱり財布を盗もう!」と心の中で決意することはあるでしょうか?
答えは、ありません。
なぜなら、物(財布)が、あなたに対して「目的の変更となるきっかけ」を一切与えていないからです。
財布があったことに気づいた瞬間(=きっかけ)に、目的が「自分に財布を盗ませたい(=自己使役・自己完結)」になることはあり得ます。
もしくは、ふとした瞬間に財布が机から落ちて(=きっかけ)、拾おうとしたときに目的が「自分に財布を盗ませたい(自己使役・自己完結)」になることもあり得ます。
でも、物が動いてもいない(=きっかけが無い)にも関わらず、目的が変更されることは絶対にありません。
きっかけが無い限り、目的は変わらない!
人対人が大原則です
絶対に間違えてほしくないことがあります。それは「目的は人対人が大原則であること」です。
あくまで数少ない例外のなかに「人対物」「自己完結」があると思ってください。
この大前提がないと、恐ろしいことが起きます。
というのは、目的の設定に悩んだとき、安易に「そうか。これは人対物だから目的は成立するんだ!」と逃げることができてしまいます。
例えば、台本:星に願いをの冒頭で役2が「さむ〜」と言っているのも、一見すると「自己完結」のように見えます。
1:あ〜、遅くなっちゃったね。
2:さむ〜!
3:あ、ねぇ空見てみて。
でもこれは自己完結ではありません。この勘違いが、とても恐ろしいことなんです。
でも、これはちゃんと「人対人」です。発言しているシーンに他の登場人物がちゃんと揃っていますよね?だからこれは他人にはたらきかけているセリフなんです。そうでないとドラマが生まれないからです。
がんばりましょう!