【第6回その1】目的(メソッド)の「例外」
目的の例外

この記事は2020年2月24日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

Q.目的(メソッド)を書いているのですが、考えるほど合っているのか分からなくなってきます。

それで大丈夫です。ひたすら悩んで、ひたすら迷ってください。
目的(メソッド)には正解はなく、物語として成立さえしていればOKです。やっていくうちにどんどん良いものが出来てきます。次第に「共通するところ」と「味付けを変えるところ」なども分かってくるようになると思います。

INDEX
  1. ▼目的の特殊なケース
    1. 1.人対人
    2. 2.人対物
    3. 3.人対無
    4. 人対人が大原則です

▼目的の特殊なケース

今回は、目的をさらに深堀りします。

目的には、実は3種類あります。

3種類の目的

1.人対

2.人対

3.人対(自己完結)

1.人対人

目的は、人対人が大原則です。

つまり、人から人に働きかけるものが「目的」です。

例えば、「目的:相手にOKと言わせたい」も「目的:相手を笑わせたい」も、すべて人対人です。

続いては2と3の、「目的の特殊なケース」をご紹介します。「目的の例外」と言ってもいいです。

2.人対物

「人対物」は、目的の例外です。

人対人のような、「物に対して目的を持つ」ということはありません。

目的そのものではなく、「目的の変更を受けるきっかけとなりやすい」ものです。

例えば、隣町の家族へ会いにいくために道路を走っているときに、落石があったとします。

このとき「家族に顔を見せたい」という目的は物によって邪魔されます。あるいは落石に他人が巻き込まれたなら、「他人を生き延びさせたい」に目的が変更されますよね。

「物そのものが目的になることはない」ということを覚えておきましょう!

3.人対無

「人対無」も同じく例外の目的です。「自己完結」「人対観客」といったケースも含まれます。

自己完結、というのは例えば女子高生がパンをくわえて「遅刻遅刻〜!」と言って家を出るシーンです。このシーンは目的が自己完結しています(傍白とか、自己を使役しているとも言います)。

もしくは、世にも奇妙な物語のタモリというストーリーテラーも「自己完結」です。

人対無の例
  • 登場人物が誰もいない状況で独り言を言っている
  • 登場人物が観客に向かって話しかけている

もうひとつ例を挙げましょう。

目の前の机に、他人の財布が置いてあります。

役であるあなたは、財布をじーっと見ています。

役は目的に従って動いているのでしたね。

「財布を盗みたい」という目的を持っていない状態で、「よし…やっぱり財布を盗もう!」と心の中で決意することはあるでしょうか?

答えは、ありません

なぜなら、物(財布)が、あなたに対して「目的の変更となるきっかけ」を一切与えていないからです。

財布があったことに気づいた瞬間(=きっかけ)に、目的が「自分に財布を盗ませたい(=自己使役・自己完結)」になることはあり得ます。

もしくは、ふとした瞬間に財布が机から落ちて(=きっかけ)、拾おうとしたときに目的が「自分に財布を盗ませたい(自己使役・自己完結)」になることもあり得ます。

でも、物が動いてもいない(=きっかけが無い)にも関わらず、目的が変更されることは絶対にありません。

きっかけが無い限り、目的は変わらない!

人対人が大原則です

絶対に間違えてほしくないことがあります。それは「目的は人対人が大原則であること」です。

あくまで数少ない例外のなかに「人対物」「自己完結」があると思ってください

この大前提がないと、恐ろしいことが起きます。

というのは、目的の設定に悩んだとき、安易に「そうか。これは人対物だから目的は成立するんだ!」と逃げることができてしまいます。

例えば、台本:星に願いをの冒頭で役2が「さむ〜」と言っているのも、一見すると「自己完結」のように見えます。

台本:星に願いを冒頭シーン

1:あ〜、遅くなっちゃったね。
2:さむ〜!
3:あ、ねぇ空見てみて。

でもこれは自己完結ではありません。この勘違いが、とても恐ろしいことなんです。

でも、これはちゃんと「人対人」です。発言しているシーンに他の登場人物がちゃんと揃っていますよね?だからこれは他人にはたらきかけているセリフなんです。そうでないとドラマが生まれないからです。

がんばりましょう!

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