
前回、役3が、役2のやりたかったことを横取りするような発言をしたことが妥当かどうか?を検討しました。
役2の目的:役1と3に”空が綺麗なこと”を共感させたい
役3の目的:空が綺麗なことを、1と2にも同意させたい
わたしは「妥当ではないよな」と思いました。
▼目的を調整しよう。役を調整するのは最後の手段
以前、役は「サイコロのようなもの」と言ったことを覚えているでしょうか。
→【第3回目その1】【重要】演じるって何?役者って何?役って何?
サイコロの3面は物語でずっと見えていますが、残りの3面は普段は隠れて見えないのでしたよね。ふとした拍子に一瞬転がって「裏面」が見えたり見えなかったりすることが、お芝居に深みを出します。
ここで役2が「どんな役か」を考えてみましょう。
役とは、キャラクター、パーソナリティー、人間関係を持った人物のことでしたね。
わたしは役2を、ざっくり言って「1と3の間を取り持つ、保護者タイプ」と仮決めしました。
台本を読んでいくと1と3の会話の接着剤、アシストのような役目を果たしているように見えたからです。(繰り返しになりますが正解はありません!お芝居として成立さえすればOKです)
保護者タイプのイメージといえば、例えば次のような感じでしょうか。
- 普段は優しさ、包容力、大人な感じ
- でも叱る時など瞬間的に怖くなる
では、そんな2の保護者タイプが「横取り発言をするのは妥当か」と考えます。
わたしは「うーん、やはり妥当ではない気がする」と考えました。
妥当ではないとしたら、変更するのは「目的」です。目的の変更を試みます。
役2のひとつ前のセリフと目的を整理すると次のとおりです。
2:さむ〜!(目的:1と3に寒いことの同意をさせたい)
2:わ〜。すごーい!(目的:1と3に空が綺麗だと共感をさせたい)
ひとつ前の目的に戻って検討をし直しましょう。
「さむ〜!」と「わ〜。すごーい!」で筋が通る目的は何でしょうか。
・・・考えてみました。例えばこんなのはどうでしょうか?
2:さむ〜!(目的:1と3に寒いと言う自分を見させたい)
2:わ〜。すごーい!(目的:1と3に感動してる自分を見させたい)
どうでしょうか?一貫性が生まれましたか?
役2は「自分のことを見てほしいキャラ」になり、筋が通り始めました。
「いやいや、そうなると役2はめっちゃナルシストなキャラじゃん!そうはならんやろ〜」と思われる方も、その感性は間違っていないと思います。ぜひ妥当な、異なる目的を考えてみましょう。
一度こうだと決めた「役」はそうそう変更しません。
たしかに「なんだか物語の進行が成立しづらいな」と思ったとき、役の内面(性質、性格、人間関係を持った人物)を変えたくなることもあると思います。
しかし、一度こうだと決めた役をいじらずに済むなら、それが一番いいです。役をいじらなくても目的を検討しなおせば、大概なんとかなるからです。
極端に例えるなら、一度生み落とした「自分の子供」を、運動が苦手だからといって「子供を変更する」くらい、大胆なことだからです。
どこに手を加えても物語として成立せず、どうしようもないときに初めて「これ、、もしかして保護者タイプじゃないのでは?」と役の内面の変更を検討します。
何度も言いますが、「なんか矛盾してるな??」などとつまづいたら、いちど手前の目的へ戻って、目的を検討しなおします。
「手前の目的は、どう考えても変わらない!」と固定できそうなら、次に変更された「目的」を調整します。
過去の目的が固まったら、次の目的へ。
これの繰り返しです。
がんばりましょう!