【第8回目その6】演出家の出すきっかけ・制限
制限のメリット

この記事は2020年3月10日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

INDEX
  1. ▼演出上のきっかけ
  2. ▼制限を加えることで、役は活き活きとする
  3. ▼制限がなければ、限界を試してみよう

▼演出上のきっかけ

今回も演出家の仕事についてです。

演出家は、役者が演技をはじめる前にかならず「演出プラン」を立てます。

同じように、照明監督も「照明プラン」を立てますし、音響監督も「音響プラン」を立てます。プランを立てずになんとなくやる、という状況は絶対に無いと断言できるレベルです。

演出(制限・ダメ出し)で出てくるのが「演出上のきっかけ」です。

「演出上のきっかけ」とは、例えば「この台詞を言った”3拍後”に次の台詞を言う」といったことです。

これまでに学んだ「きっかけ」とほとんど同じなのですが、少しだけ違う部分があります。

  • 台詞上のきっかけとは、表舞台のきっかけ(観客にも見えるきっかけ)
  • 演出上のきっかけとは、舞台裏も含まれるきっかけ(観客には見えないきっかけ)

例えば台本:星に願いをの「あ、流れ星!」というきっかけは、観客にも見えますね。

しかし「台詞を言った3拍後に次の台詞を言おう」というきっかけ(指示)は観客には見えません。「きっかけ合わせ」の話とほとんど同じです。

【第5回その5】【重要】きっかけとは何か

▼制限を加えることで、役は活き活きとする

「制限」を行うことによって、役はより活き活きと動くことができます。一見矛盾しているように聞こえますが、どういうことでしょうか?

【第8回目その5】【重要】演出家の具体的な仕事[限定、ダメ出し]

台本:星に願いをの「3人、声を合わせて」という制限を考えてみましょう。

ト書き

3人、声を合わせて

 

このト書き(制限)がある以上、演出上は必ずここで同時に声を合わせなければなりません。

ですが逆に言うと、「このタイミングでどうせ合わせるんだから、それまでは好きな行動をしていよう」という発想が生まれます。

ある人は星を数えていたり、ある人はボケーッと空を眺めているかもしれません。

それぞれの役が好き勝手な行動をしていたのに、あるタイミングでバシッと行動が一致するのは、見ていて気持ちいいですね。これが制限のもたらすいい効果の例です。

▼制限がなければ、限界を試してみよう

台本:星に願いをを読むと、要所要所で制限が入りますね。なぜなら物語の進行上、そのようにあってほしいからです。

いっぽう台本:ゴローに関しては、特に前半のボケとツッコミが繰り返される部分は制限が見当たりませんね。

制限が無いということは、どういうことか分かるでしょうか?

そうです!「物語が破綻しなければ、何をしてもいい」ということです。

ぜひ限界までボケとツッコミの表現に挑戦してみてください。

がんばりましょう!